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JPMがお届けする不動産コラム 2008/7/21 vol. 27
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■激減していた新築供給数!
08年上半期(1~6月)の首都圏の新築マンション新規発売戸数が、予想を大幅に下回る約2万5千戸だったことが明らかになりました。
この数字は前年の07年の上半期比で言っても約24%マイナスです。
これによって通年の新規供給戸数も、当初の予測値であった5万4千戸から約1割マイナスの4万9千戸程度まで下方修正されました。
5万戸割れは、なんと15年ぶりの低水準。
実にバブル崩壊直後の1993年水準以来の落ち込みになります。
この結果を受け、数値を発表した不動産経済研究所も
「マンションブームは既に終わっていた」
「年間供給見通しが5万戸を切るほど厳しいとは思わなかった」
などとコメントを出したようです。
直近4年間の首都圏における新築供給戸数の推移です。
05年 84148戸 対前年比▼1.5%
06年 74463戸 対前年比▼11.5%
07年 61021戸 対前年比▼18.1%
08年 49000戸 対前年比▼20.0%(予想)
対前年比マイナス供給数も05年から4年連続で、毎年マイナス幅も拡大する一方です。
これは単に昨年の建築確認の厳正化だけが原因ではありません。
どちらかと言えば大きな要因は、建築費の恐ろしいまでの高騰ぶりです。
そのあたりの状況を考えると、今後も供給数が増加に転じるのは難しいといわざるを得ません。
■過剰な新築供給数
日本 9.4戸
アメリカ 6.7戸
フランス 5.8戸
イギリス 3.8戸
ドイツ 2.9戸
これは、人口1000人あたりに対する新築住宅着工戸数のデータです。(04年、野村総合研究所)
日本は、欧米諸国に比べ1.5倍~3倍と、人口規模のわりに新築住宅の市場規模が大きすぎることが一目瞭然です。
これは木造住宅が短命であることも大きな要因と考えられますが、一方で市場に中古ストックがあふれていることを示唆しています。(特に木造に比べて寿命の長い中古マンションのストック。)
ある意味、国が率先して推し進めてきた新築主導の住宅政策の限界点に到達した現れかもしれません。
今後は、諸外国並みに中古住宅の流通比率が増加するのは時間の問題のようです。
■ニーズが高まる中古住宅の上手な見方
さまざまな必然的理由に後押しされて、今後中古住宅に対するニーズはますます高まります。
ただし、そのストック数はマンションに限定しても06年末時点で550万戸を超える膨大な量になっています。
その中から何を基準に選べばいいのでしょう?
いくらであれば割安で、いくらであれば割高になるのでしょう?
住宅も基本的な価格の推移の仕方は車などの耐久財と一緒です。
一部のプレミア物件をのぞけば、分譲(新築)時点をピークに経年変化と共に、価格は下落していくのが原則です。
ただ、下落率がそれぞれ物件によって異なるのがポイントです。
ホントに当たり前の話で恐縮ですが、結局価格を決めるのは需給バランスです。
人気がある物件であれば、本来新築価格の8掛け(×80%)のところを9掛けで持ちこたえる可能性があります。
逆に市場ニーズが薄い物件は、本来は新築価格の8掛け程度のところを7掛けしないと、買い手がつかない(需要が無い)ということも考えられます。
要は、人気がある物件は下落率が低いということです。
住む「目的」によって考え方は異なりますので、正解ということではありませんが、物件の価格を見比べる時の参考にしてみていただけたら、と思います。