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JPMがお届けする不動産コラム 2008/7/14 vol. 26
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■積極的に不動産を買う銀行員が急増中!
ここ2~3ヶ月の間に購入したお客様の属性に、明らかな変化が出てきました。
○○銀行、○○信金、○○信託銀行など、とにかく金融機関関係者の方が非常に増えたのです。
私たちも最初は偶然かと思っていましたが、一人ひとりのお客様にヒアリングしてみると、どうやら偶然ではないことが分りました。
どうして急激に金融機関関係者の方たちが、不動産を買い始めたのか。
実際に購入をした人たちに、その動機を聞いてきました。
・「まだまだインフレ局面が続くと予想しています。となれば、住宅ローン金利はこの先も上昇局面が続く可能性が高い、と考え具体的に購入を決意しました。株価も夏あたりが底ではないかと考えています。」(33歳、メガバンク勤務)
・「この半年ほどで、価格調整が進んだのが実感できたのが一番の理由です。中長期的に見ても、人口の集中が続く東京圏の不動産はそれほど値崩れしないと読んでいます。正直、まだ若干の下落余地はあるのかもかもしれませんが、金利の上昇と総合的に判断すると今が買い時と判断しました。」(38歳、外資系金融機関勤務)
「自分の年齢を考えても、この2~3年にローンを組み始めないと支払いが年々厳しくなると思っていました。少なくとも今後1~2年の間は、賃金の上昇には期待しづらい状況なので、これ以上は頭金を貯める時間の方がロスだと考えました。」(42歳、信金勤務)
やはり金融機関関係者の方は、景気を肌で感じる仕事柄、そのあたりの情報に敏感なのでしょう。
物件価格、金利動向、世界的経済の流れから日本国内の経済の流れ、それから個人の事情・・。
このあたりを総合的に判断すると、「いつ住宅を買うべきか」、その答えが見えてくるかもしれません。
■役に立たない「遅行指標」
先日(7月1日)、国税庁が08年分の路線価(1月1日現在)を発表しました。
その時の日経新聞のタイトルが「地下上昇ピーク越す?」でした。
現場で動いている私たちの感覚では「ピーク越す?」ではなく「ピーク越す!」でしたから、その感覚差にビックリです。
そもそも何でこのような感覚差が生まれるのでしょうか?
そもそも、路線価(相続税評価額)とは税金の算定根拠とするために年に1度国が調べる土地の評価額ですが、「遅行指標」と呼ばれるように過去の情報になります。
とにかく調べてから発表までの時間が掛かりすぎです。
これでも昨年までの発表は毎年1月1日現在の価格を8月1日の発表でしたから、1ヶ月短縮されたことにはなりますが、それでも半年のタイムラグは潮目が早い現在では致命傷です。
そのため、新聞をはじめ各マスメディアの発表する記事は、半年も前の情報と本当のリアルタイム情報がいつも錯乱しています。
その結果、同じ紙面に「地下上昇」と「地価下落」という対極のフレーズが踊ることになるのです。
一般消費者の方は、そのあたりの事情を含んだ上で情報の解釈をする必要があります。
■不動産の価格がややこしいワケ
ちなみに路線価のほかにも、毎年3月の下旬に発表される国土交通省が設定する「公示地価」と、半年後の9月下旬に発表される都道府県が設定する「基準地価」などがあります。
路線価ほどではありませんが、それぞれ3~4ヶ月ほど調査から発表までにタイムラグが生じてしまいますので、やはり「遅行指標」になります。
逆に、実際の市場の状況を的確にとらえた指標(一致指標)は、やはり時価(実勢価格)になります。
簡単に言うと、実際の不動産が幾らで売れた・買えた、を現す取引事例価格です。
「一物四価」「一物多価」とも言われる不動産価格は制度上の問題もあり、非常に複雑で分りづらいものですが、これらの価格の意味や性質を多少でも知っておくと、たくさんある情報に惑わされずに済むでしょう。