━━━━━━━━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
JPMがお届けする不動産コラム 2008/8/4 vol. 29
━━━━━━━━━━━━━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■高まる中古住宅流通への意識
現在の日本国内における中古住宅の流通性は非常に低く、今後は社会的・経済的・環境的観点からも、中古住宅の流通活性化は国家レベルでの大きな政策のひとつと位置づけられるようになりました。
06年に施工された住生活基本法では、中古住宅の流通シェア目標が以下のように掲げられていますが、実際には非常に高いハードルだといわざる得ない状況です。
・03年度 13% → 15年度 23%(12年で10ポイント向上)
国策として検討されている長期優良住宅(200年住宅)普及のための法案も、先日の国会では審議未了となり、まだ国が率先して流通活性化を拡大するほどの手引きが出来ていないのが現状です。
そこで今注目されているのが、民が主導で脚光を浴び始めた「リノベーション」です。
『新築でも中古でもない新たな住宅』として、中古流通活性化へ切り札となりえるのか、期待は高まる一方です。
■リノベーションの特徴
リノベーション(renovation)とは、renovate=「再生する。刷新する。良好な状態に戻す。」意味ですが、日本では今まであまり馴染みのない言葉でした。
今でもお客さまからは「リフォームとの違い」についてはよくご質問をいただきますので、もう一度確認をしておきたいと思います。
実際には明確な定義・線引きはありません。
ありませんが、いわゆる修復が目標の「リフォーム」と、価値向上(バリューアップ)が目標の「リノベーション」と考えていただけたら概ね間違いは無いと思います。
言い方を変えて説明すると、マイナスをゼロに戻すのが「リフォーム」ならば、マイナスをプラスまで引き上げるのが「リノベーション」と理解して頂いた方が分かりやすいかもしれません。
そのような目線から見ると、本当の意味でのリノベーション住宅は一体どの位あるのか疑問に感じることがあります。
現場にたずさわる者としては、中古住宅の最大の不安点でもある「品質」に関して、きちんと保証できることが最低限の定義と考えています。
また、そのレベルが業界スタンダードになる時が、リノベーション市場が本当の意味で市民権を得る時かもしれません。
■JPMが考えるリノベーション
ご存知のように、私たちは宅建業者です。
(ちなみに、今年の秋にようやく免許番号が更新されます(笑)宅建業者の免許番号の更新は5年に1度です。)
宅建業者自らが売主の場合、瑕疵(かし)と呼ばれる建物の不具合箇所に関して、最低2年間の担保責任を負うことが義務付けられています。
ただしこれは「目に見えない部分」の瑕疵についてで、見える部分は厳密に言うと対象外になります。(意図的に隠していた場合は別ですが。)
さらに一般的に契約書に謳われる瑕疵の項目は、概ね以下の4種類です。
1、 雨漏り
2、 シロアリ
3、 給配水管の故障
4、 腐食
でも、考えてみてください。
特に戸建てではなく、マンションの場合は、3番の給配水管の故障以外は、現実的にはほとんどありません。
それよりも実際に住んでからのクレームで多いのは、「建具の調子が悪い」とか、「水の出が悪い」とか、そういった細かい部分です。
これらは「隠れたる瑕疵」ではありません。
ありませんが、快適な生活を送る上で、解決したい問題であることには間違いありません。
私たちは「リノベーション」の価値向上のためにも、これらにきちんと対応・保証する必要があることが、この仕事にたずさわる者の使命と考えています。
(明らかにお客さまの使用方法に問題がある場合は別ですが・・・。)
今後もその姿勢に変わりはありません。
そして近い将来、ただの中古住宅とは一線を画した「リノベーション」住宅が、幅広く一般に認識され、その価値が認められることを目指しております。