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JPMがお届けする不動産コラム 2008/11/4 vol.41
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■新築マンションの値引き攻勢
首都圏における新築のマンションの在庫数が一向に減りません。
直近の9月で10.411戸と、相変わらず1万戸を下回れずにいます。(ブルブル)
ここ13ヶ月連続で前年同月の供給数を下回り続けているにも関わらずに、です。
(特に、直近の9月の供給数は首都圏全体で2.427戸と、前年比を5割以上下回る記録的な低水準でした。)
しびれを切らした(値引く体力のある)マンションデベロッパーは、最終カードである値引き攻勢を掛けてきています。
実際、一部では20%近くの値引きを行っている話しも、チラホラ耳にします。
たしかに大きいですよね、2割。
9月の首都圏の新築マンションの平均価格が約4500万円ですから、2割引きだと実に3600万円です。
その差、なんと900万円!
小さいベンツなら新車で買えそうな価格です。
さて、このマンション、「買い」でしょうか?
■値引きをする理由って?
答えはNOです。
なぜなら、値引きをする理由を考えればすぐ分かります。
「売れないから、仕方なく下げる」のです。
分譲主からしてみれば、会社の経営体力をそがれていくことになりますが、それでもほかに方法がないため、仕方なく値引きをするのです。
場合によっては、それが会社を破綻させるリスクを承知の上で、です。
そして、多くの値引きマンションの場合、立地に難点があるケースが多い。
先日も、当社にご相談いただいたお客さまがいらっしゃいました。
「千葉県の駅から20分のマンションが500万円程度値引きをしてくれそうだ。」
「購入すべきか迷っているのだが、どうだろう。」
私は即座に「絶対、買っちゃダメ」とお答えしました。
■永住するつもりですか?
その地に思い入れや事情があって永住目的の方の場合は、そういったマンションでも検討する価値があるかもしれません。
ただ、マンション購入適齢期といわれる年代は、30代です。
住宅ローンの組める年数などから逆算しても、そのあたりで購入に踏み切る人が多いのが事実です。
30代という年齢は、今後家族構成が変わる可能性や、転職・転勤する可能性もかなり高い年代です。
そうなると、当然将来、
「賃貸にまわしたい」
「売却したい」
といったケースを想定しておかないと心配ですよね、可能性として。
そうなると話しは違ってきます。
立地に難があり、「新築」というバリューがある分譲時にもかかわらず、バーゲンセールをしなければ売れなかったマンションが、はたして10年後にいくらになっているでしょうか。
おそらく、貸すにしろ売るにしろ、その時は分譲時以上に苦労することが予想されます。
大げさな話しではなく、分譲時の半額以下になってしまう可能性も十分あります。
■値引きをしていても買っていいマンションって?
そこまで考えると、目先の数百万円の値引きに踊らされるのは考えモノです。
言葉は悪いですが、「安もの買いの銭失い」になる可能性があります。
逆に、値引きはしているけど「買い」のマンションもあります。
それは、好立地のマンションで、そもそものデベロッパーの設定金額が高かったために売れていないマンションです。
同じ値引きでも、そのあたりをよく見極めて判断しなければなりません。
マンションは高い買い物です。
買って終わりではありません。
買ってからが始まりです。
値引きもたしかに魅力的ですが、資産として「買い」かどうか、もう一度考えてみましょうね。