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JPMがお届けする不動産コラム 2008/11/10 vol.42
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■リノベーション物件の増加
近年、リノベーションマンションと称される、内装が施された中古物件の流通が飛躍的に増えてきました。
住宅関連以外の雑誌やテレビなどにも取り上げられる機会が増え、20~30代の方を中心に認知度も徐々に高まってきています。
中古マンションのストック自体が年々増大することからも、今後はこの傾向に拍車が掛かることが確実視されています。
ここで一回おさらいをしておきたいと思います。
「そもそもリノベーションとはなんぞや?」
リノベーションに対する明確な定義は定まっていない、というのが現在の定説ではあります。
ですが、単純な原状回復的リフォームとは一線を画すと考えていただいて良いと思います。
リノベーションとは、原状回復という従来のリフォームの枠を飛び越えて、新たなる付加価値を備えつける(=再生)ことを指し示しています。
言い方を変えて説明すると、「マイナスをゼロに戻すのがリフォーム」「マイナスをプラスまで引き上げるのがリノベーション」と言っても良いでしょう。
(http://www.jpm-co.jp/first-renovation/renovation_top.html)
■時代のニーズの変化
例えば、おおよそ30~40年前の団地などによくみられる間取りは、どれをとっても金太郎飴のような間取り(4畳半~6帖×3部屋+ダイニングキッチン)でした。
ただ、この当時は、住宅数が世帯数を下回る時代。
要は、ひとつ屋根の下におじいちゃん・おばあちゃん、お父さん・お母さん、子供2人の3家族が暮らせる間取りが必要だった訳です。
当然、ベッドではなく布団を敷き詰めて寝るわけですから、それでもなんとかなったのでしょう。
ある意味、時代に即した間取りだったと言えます。
ところが、2008年の現在は、求められるニーズは完全に変わりました。
住宅供給数は世帯数を上回り、核家族化が進んだ結果、単純にいうと一人ひとりの居住空間が広がった訳です。
そこで、30~40年前の旧態依然とした間取りを、今のライフプランに合わせて大規模に手を加え、最新設備を投入する必要がでてきた訳です。
■具体的なリノベーション事例
では、具体的には、どのような施工を施すのか一例をご説明します。
・部屋位置の真ん中に位置することの多かったDKを、日当りの良いバルコニー側に移し、対面カウンターキッチンを備えた大型LDKに変更する。
・キッチンには最新の浄水器や食洗機などを組み込み、新築とそん色ない機能が備え付ける。
・ブロックで囲まれて、まるで五右衛門風呂のようなせまさだったバランス釜の浴室の壁をハンマーで叩き壊した上でスペースを確保し、最新の追い焚き機能&換気乾燥機能付のユニットバスを配意する。
(http://www.jpm-co.jp/renovation-report.html)
・ベランダにしかおけなかった洗濯機置き場を室内に移動させ、防水パンを設置し、場所を確保する。
・エアコンの取り付けが想定されていないお部屋に配管スペースを確保し、エアコンが設置可能な状態にする。
・日当りの悪いジメジメした和室を洋室に変更し、押入れスペースをウォークインクローゼットにしてしまう。
・極端に低い天井をいったん全て解体し、下地組みからやり直し、開高を余分に確保する。
・段差が激しかった床面に、下地調整を施しバリアフリーに変更する。
などなど。
もちろん現場によってやれる内容は異なるものの、明らかに原状回復という枠は超えていると言っていいでしょう。
エコ的な観点からも、若い世代の方を中心に、必ずしも新しいモノでなくても価値を見出す傾向が増えています。
将来的な先行き不透明感からも、価格の高い新築住宅を取得するリスクを理解するようになった人たちも増えています。
今後はさらに、このようなリノベーション物件の普及が進みます。
次回は、さらに踏み込んで、リノベーション物件のメリット・デメリットについて触れてみたいと思います。