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JPMがお届けする不動産コラム 2008/8/18 vol.30
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■価格調整が進んだ中古住宅
第28号のメルマガコラムでもお伝えしたとおり、中古住宅市場は成約件数も増加傾向にあり、活況を呈しています。
その原因として挙げられるのが、新築マンション価格の異常なまでの高騰ぶりであったり、住宅ローン金利の上昇であったりということは、これまでにお伝えしてきた通りです。
ただ、それだけではなく、やはり価格調整が進んだことも大きな要因であったと思われます。
その証拠に、ここ4ヶ月で首都圏における中古マンションの価格調整が進んだ裏づけデータが発表されました。
☆中古マンション70㎡価格(東京カンテイ)
◇首都圏全体
4月3236万円 → 5月3202万円 → 6月3165万円 → 7月 3143万円
※4ヶ月で103万円(-2.9%)下落
◇東京都
4月4247万円 → 5月4174万円 → 6月4149万円 → 7月4117万円
※4ヶ月で130万円(-3.1%)下落
◇神奈川県
4月2658万円 → 5月2659万円 → 6月2641万円 → 7月2578万円
※4ヶ月で103万円(-3.1%)下落
ちなみに首都圏全体における直近のピークは07年の12月で3404万円です。
約半年で販売価格の1割弱にあたる261万円(-7.7%)も価格調整が進んだことになります。
■価格調整が進まぬ新築
それに比べるとどうしても新築マンションの価格調整の遅さが際立ってしまいます。
それは以下のデータを見ても一目瞭然です。
☆新築マンション価格推移(不動産経済研究所)
◇首都圏全体
4月5344万円 →5月4821万円 → 6月4638万円 → 7月 5309万円
※4ヶ月で35万円(-0.7%)下落
一見すると4月~6月と価格調整が進んだように見えましたが、7月の数字を見る限りまだまだであることがよく分かりますね。
その結果、7月の首都圏における契約率は53.5%(前年比20.6ポイント下落!)と一段と厳しさを増してしまっています。
毎月順調に(?)価格調整が進んで成約件数が伸びている中古とは対照的な結果になっています。
■新築と中古の差のナゾ
どうして新築と中古でこれほど価格調整のスピードが違うのでしょうか。
複数の原因が考えられますが、これはそもそもの事業構造の違いが大きいと思われます。
まず、新築マンションはデベロッパー(開発業者)と呼ばれる法人が営利目的で販売しているのに対して、中古マンションは一般消費者が何かしらの事情(買い換えや資産処分など)で売却することがほとんどであること、があげられます。
当然、損益分岐点がある法人の商品である新築の場合と、そうではない中古の場合では価格調整のしやすさは違います。
また、私たちのような中古をメインに販売している法人もありますが、1つのプロジェクトで50~60世帯、場合によっては100~200世帯を超えるような規模の新築と比べると、やはりひと部屋ひと部屋をプロジェクトとする中古の方が、当然価格調整はしやすくなります。
例えば、平均販売価格が5000万円で50世帯の新築マンションを全体で1割価格調整するとなると、5000万円×50世帯=25億円×10%=2億5千万円のマイナスになります。
中古の場合、仮に3000万円の1割価格調整ということになっても300万円のマイナスで済みます。
そのほかにも原因は考えられますが、この構造的な問題の即効薬はなかなか見つかりそうにありません。
いずれにしても、今後も中古市場が優勢の状況はしばらく続きそうです。
また、このあたりのデータが入手出来たら分析・報告しますので、お楽しみに。