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JPMがお届けする不動産コラム 2008/6/2 vol. 20
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■新築マンションと中古マンション乖離率
バブル崩壊後の東京都における新築マンションと中古マンションの平均価格の推移をみてみましょう。
◇東京都(東京カンテイ調べ)
93年 新築4889万円:中古4639万円 (中古価格水準94.9%)
96年 新築4479万円:中古3500万円 (中古価格水準78.2%)
99年 新築4262万円:中古3009万円 (中古価格水準70.6%)
03年 新築4098万円:中古3039万円 (中古価格水準74.2%)
06年 新築4436万円:中古2768万円 (中古価格水準62.4%)
◇神奈川県(東京カンテイ調べ)
93年 新築4420万円:中古3963万円 (中古価格水準89.6%)
96年 新築4048万円:中古2980万円 (中古価格水準73.6%)
99年 新築3825万円:中古2435万円 (中古価格水準63.6%)
03年 新築3728万円:中古2145万円 (中古価格水準57.5%)
06年 新築4112万円:中古2064万円 (中古価格水準50.2%)
以上のデータからは、都心である東京都の物件の方が、おしなべて価格維持力があることが見て取れます。
また、それと同時に、年々新築マンションと中古マンション価格の乖離幅が広がっていることも顕著です。
この傾向は今後も続くのでしょうか。
直近の新築・中古市場の様子を分析してみましょう。
■価格高騰が著しい新築マンション
東京区部 5149万円(06年)→7996万円(08年4月) 55%上昇↑
東京都下 3932万円(06年)→5174万円(08年4月) 32%上昇↑
神奈川県 4150万円(06年)→4629万円(08年4月) 12%上昇↑
これは新築マンションの平均供給価格で、直近の4月に首都圏で供給されたものと、06年度の平均供給価格を比較した数字です。(不動産経済研究所調べ)
この価格上昇は、取得時の土地価格が高かったことに加え、2年前から約5割程度(!)上昇している建築コストが主な原因となっています。
実際、ここまで価格が高騰してしまうと、一般に適正価格といわれている「年収の5倍以内」を大幅に超え、昨年の平均供給価格はなんと年収の約10倍まで上昇しています。
当然、購入可能層が少なくなった結果、成約率は大きく落ち込み、多くの新築マンションデベロッパーは大変苦戦を強いられています。
「じゃあ、思い切って値下げをして販売を促進すれば良いじゃないか」
そんな皆さんの声が聞こえてきそうですが、多くのデベロッパーの粗利幅は、そもそも概ね2割程度しかありません。
余程大手の体力あるデベロッパーを除けば、「値下げをしたくてもする体力がない」というのが現実です。
■緩やかな上昇に留まる中古マンション
東京区部 2531万円(06年)→3021万円(08年3月) 19%上昇↑
東京都下 1863万円(06年)→2100万円(08年3月) 13%上昇↑
神奈川県 1817万円(06年)→2054万円(08年3月) 13%上昇↑
これが中古マンションの平均販売価格で、直近の3月に首都圏で供給されたものと、06年度の平均販売価格を比較した数字です。(アットホーム調べ)
高騰著しい新築マンションに引っ張られる形で、中古マンション価格も1~2割程度の上昇が認められますが、概ね新築マンションの上昇率に比べ小幅に留まっています。
特に都区部に至っては、新築と中古の上昇率は36%と大幅な乖離減少が始まっており、今後もこの傾向は続きそうです。
最終的には何を優先させるのかにより、住まいの選択は異なってきます。
ただし、こと「価格」に関しては、今後ますます中古の割安感が際立つ傾向が強まりそうです。