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JPMがお届けする不動産コラム 2008/5/12 vol. 17
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■ マンションの寿命
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日本におけるマンションは、戦後に建てられたものがほとんどで、古いものでも40~50年の歴史しかありません。
区分所有法が出来たのも昭和37年(1962年)で、マンションの普及もこの頃以降に本格的に始まりました。
そのため、実際にはこの先どの程度マンションがもつのかは不明瞭な状態で、平均的な建替え年数を算出するのにもデータが不十分な状態です。
ただし、建築学的には高品質なもので100年以上、普通品質なもので60年以上を目標として設計・施工されており、「メンテナンスが正しく行われていれば100年もつ」のが妥当とされています。
また、「50年程度が寿命では?」といった質問もいただきますが、SRC(鉄骨・鉄筋コンクリート)造・RC(鉄筋コンクリート)造の法定耐用年数が47年と定められていることが根拠なことが多く、物理的耐用年数とは直接関係ありません。
■ マンションの劣化
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では、具体的にマンションはどのような状態で劣化していくのでしょう。
躯体(ハード)部分に関しては、建築方法によっても異なりますが、一般的にクラック(ヒビ)などから雨水等の浸入が進み、コンクリートの中性化が鉄筋や鉄骨部にまで及ぶと錆びやすくなり強度を失うことになります。
上記のハード以外のソフト部分(給配水設備やエレベーターなど)においても、経年変化と共に劣化が進みます。
そのため、定期的な大規模修繕などで、適宜な交換・メンテナンスが行われているかどうかが、非常に重要なポイントになります。
また、室内における間取りや設備の使いづらさや、段差や歪みなども劣化の一つにあげられます。
ただし、これらのほとんどはリノベーションによって「再生」することが可能です。
■ マンションの建替え
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まず、マンションの建替えにはさまざまな困難な問題があり、非常に難しいのが現実です。
例えば、「建替え決議には所有者の5分の4以上の同意が必要である」ということが、区分所有法にて定められています。
当然、それぞれ事情が異なる人たちが暮らしているわけですから、権利関係含め調整にはかなりの時間を必要とし、成功事例でも5~10年程度かかっています。
また、建ぺい率・容積率が変わらない場合は、通常建替えにかかる建築費は持ち出しになり、区分所有者の皆さんで負担をすることになります。
経済状況も当然世帯ごとに違いますので、難航することは容易に想像できます。
では、実際にどういったケースであれば建替えが成功するのでしょう。
実は、成功した事例のほとんどが、再開発や総合設計といった手法によって容積率の緩和を受けたものであったり、そもそも営利目的の民間分譲マンションではなく空地率が高い供給公社の団地などに限定されています。
これらの場合は、「容積ボーナス」によって増床した床面積分を外部に売却することによって、建築費用を捻出できます。
但し、実際にこれまで国内で建て替えが成功した事例は約100戸程度ありますが、築30年以上のストックが100万戸を超えることを考えると非常に希少例であることがよく判ります。
平成14年に「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」が施工されましたが、抜本的な問題点が解決するまでは至っていません。